いつも書いていることですが、私のメソッドでは①感覚刺激②骨格コントロール③力の流れ、といった要素の掛け合わせでトレーニングを行います。
この中でもとくに大事なのが骨格コントロールであり、これは分節運動ともいわれるものです。簡単にいえば、体の各部位を別々に分けて動かせるようにすることです。
この運動が痛み、過緊張・コリ、姿勢の歪みなどさまざまな不調の改善につながる理由を「位置覚」という感覚から説明します。
骨格コントロール(分節運動)ができないと不調になりやすい
骨格コントロール(分節運動)とは、たとえば「骨盤を股関節だけで動かす」「背骨を1本1本ウェーブのように動かす」といった内容です。
実は、多くの方はこのような骨格コントロール(分節運動)が苦手な体になっています。たとえば、骨盤を股関節から動かせず背骨から動かしてしまうケースや、背骨がひとかたまりになり、別々に動かせなくなっているケースが多いです。
このような体の状態は、痛み、関節の不調・怪我、過緊張・コリ、姿勢の歪みなどを引き起こします。
位置覚とは
その理由の1つは「位置覚」という感覚にあります。位置覚とは、目(視覚)に頼らずに「今体のこの部位がこの位置にある」「この部位はこの角度になっている」と把握する感覚のことです。私たちは常に、ほぼ無意識のうちに位置覚を働かせて、姿勢を維持したり、歩き、走ったりしています。
しかし、現代の生活では体を多様に使う機会が減っており、とくに都会的な生活では単調な動き、姿勢が多すぎるために位置覚が衰えていきます。
その結果、脳が体の各部位の位置や角度を正しく捉えられず、間違った角度で動かしたり、負荷が強い姿勢を続けてしまったりするのです。
具体的には、
・股関節の「ねじる」動きが働かず、直線的に動いて傷める
・膝から下がねじれたまま歩いて傷める
・首が前に落ちたままの姿勢を続け、ストレートネックや首肩こりになる
・骨盤が後ろに倒れた、猫背姿勢が癖になっている
など
これが痛み、怪我、過緊張の要因になります。
位置覚による体の改善例
たとえば緊張性の頭痛や首肩こりでお悩みの方は多いですが、この原因は首や肩、背中の緊張で発生することが多いです。
その原因は、頸椎(首の骨)、胸椎(胸の高さの背骨)の緊張や位置・角度の歪み、それらからくる筋肉の緊張によることが多いです。これは、位置覚が衰えているため脳が正常からずれた位置で体を固定する癖をつけてしまっている、ともいえます。
そのため、位置覚を改善することで脳が体を正常に把握し、調整できるようになり、痛みや緊張が改善することがよくあります。
骨格コントロール(分節運動)による体の改善
逆にいえば、骨格コントロール(分節運動)が上達すると、これらの状態が改善しやすいのです。たとえば、首の骨格コントロールが上達するだけで、頭痛や首痛・コリがなくなる方もいます。また、腰椎(腰の背骨)の位置覚が向上することで、腰痛がなくなる方もいます。
位置覚の向上とは
位置覚とは「体のこの部位がこの位置にある」といった感覚であることは前述しました。これをよりイメージしやすくいえば、ガラケーと現在のスマホの画面の解像度の違いといえます。昭和のTVと現代のハイビジョンや4KのTVの違いと考えてもいいです。
つまり、位置覚が衰えた体の状態とは、脳にとって体の解像度が非常に低い状態です。その状態で無理に運動すれば傷めやすいですし、普通の姿勢、動きでもとても非効率な状態で、痛みや不調が出やすいです。
そのため、骨格コントロール(分節運動)を行うことで、脳の体に対する解像度を向上させていくことが大事なのです。脳が体をハイビジョンで把握できれば、それだけで痛みや緊張が減ることにつながるのです。
位置覚を向上させるには
位置覚を向上させるには、
・体の各部位をしっかり感じながら
・丁寧に、ゆっくり体を動かすこと
が必須です。
つまり自分で自分の体をコントロールする練習をしなければいけません。
ただ、それを効果的に行うやり方があり、それを私はメソッド化しています。
まず整えることが大事
したがって、体の不調を持つ方や、スポーツ・運動等のパフォーマンスを向上させたい方に必要なのは、まず体を整えて位置覚を向上させることであるといえます。
そのために行っているのが骨格コントロール(分節運動)であり、私が発信している内容でいえば下記のような体操が基礎です。
私のメソッドの体系でいうと、骨格コントロール(分節運動)には大きく下記のジャンルがあります。
①骨盤系
②背骨系
③胸肋系
④肩鎖系
⑤下肢系
⑥上肢系
⑦頭
さらに、この骨格コントロールをうまく行うための準備が「感覚刺激」であり、これはよりよい体の使い方ができるようにするために、まず皮膚の上から刺激を加えることです。
これも私のメソッドの体系では、下記のエリアがあります。
①丹田
②軸
③もも裏(坐骨)
④仙骨
⑤脳天
⑥足裏
⑦脇・下筋
⑧うなじ
⑨みぞおち
これらをある程度トレーニングすることが、よりよい体の状態の基礎となります。まずは、たとえば「もも裏をさすって刺激をした上で、骨盤のコントロールをする」といった体操を行うことになります。
まとめ
この記事では、骨格コントロール(分節運動)の効果の1つとして、位置覚という視点から解説しました。
位置覚が改善することで、脳が高い解像度で体を把握し自動調整できるようになり、結果として体の不調が改善したり、運動のパフォーマンスが向上するということでした。
位置覚の向上は、とにかく体操のポイントを押さえて丁寧に体を感じながら動かすことに尽きます。直接指導を受けるのが一番ですが、遠方などでお会いできない方は、配信している内容をよく読んで丁寧に行っていただければと思います。
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