体幹クラスにご参加いただきありがとうございました。
初回では一番の基礎の動きを中心に行いましたが、情報量が多く覚えるのが大変だったかもしれません。
基礎の動きのやり方と考え方・ポイントを復習用にまとめたので、参考にしていただければと思います。
※参加者用のページのため、ネット上でのシェアなどはやらないようにお願いします。
体操のやり方
動画を添付していますので参考にしてください。
細かいポイントはいろいろありますが、難しく考えず「とりあえず動きだけ真似してやってみよう」くらいの気持ちでやってもOKです。徐々に意識できることを増やしましょう。
体操①肩甲骨
肩甲骨の体操の考え方
多くの方は肩甲骨の位置がずれていたり、筋肉が固まって血行が悪くなっていたり、肩甲骨が安定してないために首や肩がこる、といった問題を抱えています。
そのため、まずは肩甲骨の位置感覚を感じられること、安定させられることが大事です。また、肩甲骨を動かすと相対的に胸椎(胸の位置の背骨)も動かせるため、自律神経的な緊張にも効果があります。
肩甲骨の上下の体操
肘をピンと伸ばしたまま、脇に力を入れて地面を肩甲骨で押し、胸が地面から遠ざかる。そして、次に脇の力を抜いて胸・肋骨全体が脱力して地面に近づく、この繰り返し。
押すとき:脇に力、肩甲骨の間が開く、胸椎が丸まる(首の少し下あたりが凸)。
抜くとき:肩甲骨が寄り斬る、胸椎が反る(凹)、体幹全体が脱力。
全体を通して背骨には力を入れない(自然に少しつられて動くくらいはOK)。
地面を押す力をまずは腕~胸に通す練習でもあります。
肩甲骨の回転の体操
肩甲骨の上下の運動に加えて「肩を耳に近づける⇔遠ざける」体操をします。
この動きを組み合わせて、肩甲骨を回転させる運動にしていきます。回転が難しければ上下の運動だけでもOK。
体操②骨盤
骨盤の体操の考え方
背中・腰の筋肉ではなく、股関節やお腹のインナーマッスルを使って骨盤を安定させることを練習します。また、お尻(坐骨)で地面を押して、反発力を体に通す練習でもあります。
骨盤の体操のやり方
まずは四つ這いで股関節で骨盤を丸める・反る体操をします。これが一番負荷が弱いため、やりやすいと思います。
ポイントは、股関節に横串が刺さっているイメージで骨盤を動かす、背中・腰はできるだけ脱力、下っ腹や内ももに力が入る感じ。
座ってやるバージョンは、より腸腰筋(お腹のインナーマッスル)を鍛えられますが、感覚が弱いと腰を使ってしまうため注意しましょう。この場合は、反る(骨盤を立てる)ときはお尻(坐骨)で地面を押す感覚です。
体操③背骨
背骨の体操の考え方
この体操が、基本の体操のメインのものです(ここまでの他の体操はこれを分解して練習しています)。
「何もやる時間がない」というときも、この体操だけ行えば体を整えられます。うまく行うことで、反力(軸)を使って体を安定させること、インナーマッスルの感覚を強くすること、縮んだ背骨の隙間をあけることなどに繋がります。
背骨の体操のやり方
- まずお尻をかかとに近づけながら股関節から骨盤を反る。手は地面を押しながら。背骨は全体が反っている。
- 次につま先で地面を押し、その力を骨盤に通して骨盤を丸める。
- 背骨を下から順番に丸めつつ、手に体重をかけていく。手にしっかり体重が乗り、床からの反発を使って首の下の骨まで丸める(凸)。背骨は全体が丸まっている。
- ここからお尻を下げながら反る、の繰り返し。
全体を通して、腰椎(腰の背骨)はあまり使わないように、胸椎と骨盤を中心に使う意識を持ちましょう。
体操④肋骨と胸骨
これはオマケ程度に考えてもらえればと思います。他の体操が優先です。
これは地面を押す力を胸骨に通し、その力で胸骨を大きく回すイメージで行います。肋骨がかたまると呼吸が浅くなり姿勢も悪くなるため、地面を押す力(反力)を使って肋骨をジャバラのように動かし、肋骨のそれぞれの間の隙間を開くイメージです。
体操⑤金魚体操と迷走神経の刺激
これらは寝る前やリラックスタイムに行うといいものです。難しく考えず、とにかくリラックスを深める、体を休める、頭を空っぽにする、というつもりでやってみましょう。
金魚体操
背骨から揺らす、揺らす力を感じながらやる。背中の力が抜けると地面が沈む感じになる。床を感じながら。
迷走神経刺激
これも動画の通り簡単なものです。呼吸を深め、触っているところから順番に力が抜けていくように。
体操の考え方
私がお伝えしている体操・体幹トレーニングは、一般的なエクササイズと異なる点がいくつかあります。
2つの力
基礎としてお伝えしているのは、地面からの反力を感じ、それを体の中に通すことです。姿勢の維持や日常的な動きをする上で、私たちは無意識に下記の2つの力を使っています。
- 内力:筋力、自分の体の中で頑張ってつくる力。
- 外力:重力や地面からの反発力。頑張らなくても使える力。
過緊張タイプ、姿勢が悪い、体の不調が多い、というタイプは内力(筋力)頼りになっています。姿勢や動きを、すべて自分の筋力でやろうとするため疲れやすく、自律神経も乱れやすく、緊張しやすくなります。
そのため、まずは外力をうまく使える体にしていくことが大事です。これが私のメソッドの一番基礎の部分にあります。
反力と軸とリラックス
外力として、まずは反力を使えるようになることが大事です。
反力は、床や壁を押したら返ってくる力です。この力が体の中に通ると、それが体軸になり体を安定させます。逆に体軸がなければ、体を緊張させて固めて安定をつくり出すしかなくなります。
「反力を感じる、ということが分からない」という質問もクラスで出ました。反力は感じるというより、勝手に体に通るものであるため「体の狙った部位が持ち上がる」感覚があればOKです。
そして、そのためには余計な力みを減らしてリラックスすることも大事です。力みは「自分でかけているブレーキ」であるため、それを解除するほど反力が体に通り、勝手に体が浮き上がります。
つまりリラックスと反力を使うことは表裏一体であるため、力を抜くほど反力を使えるし、反力を使うほど体はリラックスします。
まずは「地面を押し、その反発力に任せて体が持ち上がる感じ」を実感することから繰り返しましょう。
重量との関係が基礎
ネット上にもさまざまなエクササイズがありますが、多くは「ここを動かそう」「姿勢をこうしよう」と体のコントロールの側面が強く、重力や反力というそれ以前の前提を抜かしてしまっています。
もちろんそれ以外にも大事な要素があり、それらは今後のクラスでお伝えしていく予定です。ただ、やはり基礎中の基礎が外力(重力・反力)を使うことであるため、まずはここを意識して各体操をやってみてもらえればと思います。