【体の軸とは】姿勢の維持やあらゆる動きを楽にする軸のつくり方

体の使い方

体には軸を通すことが大事です。

これはスポーツでもよくいわれることですが、この「軸」について誤解されている方が少なくありません。

「体の中心にまっすぐな軸(ライン)をイメージし、ブレないように動く」というのも確かに大事な場合があります。しかし、それだけが大事だと思い込むと体の過緊張を招き、楽に姿勢を維持したり、効率よく体を動かすことができなくなります。

なぜこのような軸のイメージに問題があるのか、軸はどう作ったらいいのか、解説します。

体の軸には複数のタイプがある

体の軸には、大きく以下の3つがあると考えています。

  • ①体のブレをつくらないためのイメージとしての軸
  • ②重力によって生まれる軸
  • ③回転の動きで生まれる中心軸

①体のブレをつくらないためのイメージとしての軸

簡単に説明すると、多くの方がイメージするのは①のブレないイメージとしての軸です。体の真ん中にまっすぐのラインをイメージし「いい姿勢をつくろう」「体がぶれないようにしよう」とするものです。

しかし、冒頭でも書いたように、こういうイメージを強く持つ方は体を緊張させ、姿勢の維持やさまざまな動きで余計な力みを持ってしまっている場合が多いです。

これは学校教育の問題でもあります。「気を付け」という軍事教練で生まれた過緊張を生む姿勢をいまだに学校で教えており、これを「正しい姿勢」だと思っている方が多いのです。

私が特に身につけるべきだと考えている「軸」は、このような単なるイメージの軸ではなく、②に書いている重力の軸です。

②重力によって生まれる軸

これまでの記事でも書いてきたように、人間の体には常に重力がかかっています。重力とは地球の中心に向かって引っ張られる引力です。

私たちの体は、常に地球の中心へまっすぐ引っ張られているため、ここに自然に軸がつくられます。

また、私たちの体には地面からの反発力(反力)もかかっています。反力がなければ、地面に永遠に沈み続けることになります。反力は地面から天に向かってまっすぐ、体が浮く方向へかかっています。

したがって、この重力と反力によって、体には自然に軸ができるのです。

この軸は「すでにあるもの」なので、大事なのは「軸をつくる」ことよりも「軸に姿勢や動きを一致させること」であり、そのために「軸を感じること」が大事なのです。

軸を感じ、そこにうまく体を乗せることができると、姿勢の維持や動きに余計な筋力を使わなくてよくなります。簡単にいえば、常にリラックスしていられるようになるのです。

③回転の動きで生まれる軸

もう1つ回転の動きで生まれる軸もあります。

これは回っているコマや歯車の中心を考えるといいと思います。これは今回の記事に関係がないので説明をはぶきます。

体に軸を通す方法

前述のように、体に軸(②の軸=重力の軸)を通すと座り姿勢、立ち姿勢などが楽になり、さまざまな日常動作(立ち上がる、モノを持つ、歩くなど)もスポーツなどの運動も動きも、より楽になります。

優れたアスリートや武道家の立ち姿は、学校で習う「気を付け」のような姿勢ではありません。力が抜けているようで、体の中心に1本の軸がスラっと通っているのが何となくわかると思います。

繰り返しになりますが、このような軸は「イメージするだけ」では活用できません。

軸はすでに通っているものであるため、大事なのは、まずはそれを感じることなのです。

そして、軸を感じ、活用するには人間の体の仕組みを活用することが大事です。

①体の情報量を増やす

人間の体は「止まったまま」より動き回っている方が、たくさんの情報を受け取ることができます。たとえば「揺れ」「回転」「ジャンプ」などです。

多様に動くことで、体にはたくさんの情報が入ってくるため、体に通っている軸も感じやすくなります。

そのため、軸を感じる上でおすすめなのは下記のようなものです。

  • その場ジャンプや縄跳び
  • 体を左右に揺らす
  • 「でんぐり返し」のように体を回転させる

このような簡単な動きで、体で自然に軸を感じ取れるようになります。

たとえばその場ジャンプなら「体が地面に重力で落下する感じ」や「地面からボールがバウンドするように体が跳ねる感じ(反力)」を感じながら行いましょう。

この繰り返しで、軸が感じられるようになります。

②反力で体を動かす

体の軸を感じ、活用するには、反力で体を動かす練習をすることもおすすめします。

反力とは、モノを押したら押し返される力のことです。たとえば、壁を手で押すと自分の体に力が返ってくるため、自分がバランスを崩します。これが反力です。

体重が50キロなら、私たちはつねに50キロの重さで地面を押しており、その分の反力が真上に返ってきています。この力を感じることが大事です。

この反力で体を動かす練習は、以前の下記の記事で簡単に説明しています。

深谷道場式体幹トレーニング&体の使い方

体の軸はシンプルな動きで身につける

人間は同時に複数のことに意識を向けることが苦手です。

そのため、複雑で難しい動きをしながら、軸も意識するのは難しいです。したがって、シンプルでやりやすい動きを通じて、軸を感じる練習をすることが大事です。

私がいつも発信しているやり方は、とにかく簡単な動きの中で、さまざまな感覚や軸、体の使い方を学んでいくものです。

これまでSNSやオンライン教室で発信している内容を参考に、とにかく簡単な動き、地味な動きの中で感じる練習をしてみてください。

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