理性とは、私たちの思考や判断、言語活動を司る能力のこと。
未来の計画を立てたり、過去を振り返って学びを得たりするのが理性の役割で、私たちの生活に欠かせないものだ。しかし、理性には大きな特徴がある。それは「今ここ」を感じることが苦手だということ。理性は常に何かを考え、計画し、分析するため、過去や未来についての思考に引っ張られやすいのだ。
現代社会においては、理性を使うことが当たり前であり、むしろ理性を使わない状態が非効率であると、おそらく多くの人が考えている。
しかし、私はこの記事で、理性に依存しすぎることが人生の過程をスポイルすることにつながることを指摘したい。
現代の生活スタイルは理性中心
現代の生活や仕事のスタイルは、理性に大きく依存している。
仕事の中で計画を立て、分析し、問題を解決するというプロセスはすべて理性の働きによるものだ。また、私たちはスマートフォンやパソコンを通じて膨大な情報を得て、それを分析し、他人とコミュニケーションを取る。このように、理性的な活動が中心となり、私たちの生活はいつの間にか「頭でっかち」になってしまっている。
そのため、「今ここ」を感じる時間や瞬間を忘れがちだ。
例えば、食事をしながらスマートフォンをいじり、友達と会話しながら未来の計画を考える。仕事をしているときも、次にやらなければならないことや締め切りのことを頭の中でずっと考えている。現代の私たちは、理性を使うことが当たり前であり、それを疑いもしない生活を送っている。結果として、目の前の瞬間や、日々の生活の中にあるささやかな喜びを感じる余裕がなくなっているのではないか。
「今ここ」を感じられないことがもたらす問題
理性ばかりを使い、未来や過去のこと、今の自分と関係のない抽象的なことばかり考えていると、現実世界の「今ここ」を楽しむことができなくなる。
例えば、自然の美しさや季節の移り変わり、家族や友人との心地よい時間、温かい食事を味わう瞬間といった、小さくて何気ない出来事からの喜びが薄れてしまう。理性は未来や過去に意識を向けるため、今この瞬間を見過ごし、充実感を失わせてしまうのだ。
また、「今ここ」を感じられないことは、自分の在り方を否定し、成長や成功、変化ばかりを追い求める原因ともなる。
常に次の目標や課題に追われることで、今の自分を肯定することができず、現状に対する不満や焦りが生まれやすくなる。さらに、他人との比較による劣等感や、自分が何を本当に望んでいるのかがわからなくなるといった問題にもつながりかねない。
「今ここ」に意識を向ける大切さ
だからこそ、「今ここ」に意識を向けることが非常に大切だと思う。
「今ここ」を感じることで、今の自分を受け入れ、心の安定や幸福感を取り戻すことができるから。しかし、理性的な活動に慣れてしまった現代人にとって、「今ここ」に意識を向けるのは容易ではない。仕事や生活の中で、何かに追われるように感じることが多く、立ち止まること自体が難しく感じると思う。
ここで役立つのが、瞑想や身体を使ったメソッドだ。
瞑想は、理性を落ち着かせ、今この瞬間に意識を向けるための効果的な方法だ。特に呼吸に意識を向けることで、思考のループから抜け出し、身体感覚を研ぎ澄ますことができる。これは、自分の内側にある感情や感覚に気づく第一歩だ。
「今ここ」を強く感じる武道や身体的なメソッド
また、私が長年やっている剣術・古武道を通じた身体的なメソッドも、「今ここ」を強く感じるための一種の強制力になる。
武道では、身体の動きに集中し相手の動きを感じ取る必要があるため、頭の中で未来や過去のことを考えている余裕がない。無心で身体を動かし、瞬間瞬間に反応する体験は、「今ここ」に意識を向けるための非常に有効な方法なのだ。
私が提供している「ひらめき兵法塾」では、この身体感覚を磨くプログラムを通じて、今この瞬間を感じる力を養うことを目指している。
剣術や瞑想を中心としたプログラムを通じて、「今ここ」に集中することの大切さを自覚的に体験してもらい、日常生活においても「今ここ」を感じる習慣を身につけていく。それによって、忙しい現代社会の中でも、自分自身の軸を保ち、生き生きとした人生を送ることができるようになるのだ。
忙しい日常でも「今ここ」を感じる習慣を
「今ここ」を感じることは、日々の忙しさに追われる私たちにとって、特別な時間を取り戻す行為でもある。例えば、朝のコーヒーを味わう時間、通勤途中の風景に目を向ける時間、仕事の合間に深呼吸をする時間など、ほんの少しの時間であっても、「今ここ」を感じることで心に余裕が生まれる。
そして、この感覚を日々の生活に取り入れることで、社会から押し付けられる「こうあるべき」という規範に振り回されることなく、自分の軸を持って生きることができるようになるのだ。
まとめ
現代社会は理性的な活動に溢れ、私たちの生活を便利にし、効率的にしてくれる一方で、「今ここ」を感じる機会を奪っている。理性は未来や過去に意識を向けるため、今の自分を感じ、今を楽しむ力を弱めてしまう。しかし、「今ここ」に意識を向けることで、心の安定を取り戻し、自分の在り方を肯定することができるのだ。
「ひらめき兵法塾」では、剣術や瞑想を中心としたプログラムを通じて、「今ここ」を感じる習慣を身につけるサポートをしている。
忙しい日常生活の中でも、心の余裕を持ち、社会からのプレッシャーに負けずに自分の軸で生きること。それこそが、私たちが本来の姿を取り戻し、より充実した人生を送るための鍵だと考えている。
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